債務整理

旦那にばれずに!自己破産という手続きをよく知ろう

借金苦と返済相談・債務整理の発展知識1 - 自己破産と破産法

債務整理の最終段階としてよく知られているのが「自己破産」という手続きですね。この自己破産は、破産法という法律に基づいて実施されるものです。特定調停や個人再生の手続きが、個人の債務の「返済計画」を立てることに主眼を置いているのに対して、この自己破産という手続きは、個人の財産を、債権者に公正に分配することに主眼を置いています。破産手続きにおいて、債務者の財産が相当程度の財産を所有していると認められる場合には、破産管財人と呼ばれる、破産債権の分配のプロのような人が選任され、債務者は裁判所に予納金と呼ばれるものを支払わなければなりません。この予納金というのは、いわば破産管財人への報酬です。個人で申立を行う場合、この予納金の額は50万円という高額にのぼりますが、弁護士に依頼を行うと、この額が一律で20万円という額にまで下がります。そして、破産管財人によって処分される財産というのは、現在価格が20万円を超える財産(現金の場合は99万円を超える金額)です。ただし、生活を送るための最低限の財産に関しては確保されます。自己破産を行うことによって「免責」と言って、基本的には債務の支払いがすべて免除されることになります。ただ自己破産のデメリットとしては、弁護士、税理士などの士業、生命保険募集人、旅行業務取扱管理者、警備員等の資格の行使が、破産手続きの期間中において、制限されます。また官報にそのことが記載されますし、信用情報機関にその旨が5年間記録されることになります。ただし、戸籍情報にその旨は登録されませんし、選挙権がなくなることもありません。

 

借金苦と返済相談・債務整理の発展知識2 - 「同時廃止」とは何だろう?

破産手続きを行う際、通常は、債務者の財産(現在価格で20万円以上。金銭の場合は99万円以上の額)について、それを債権者分配用に処分するため、破産管財人が選任されるのですが、当然、場合によってはそのような財産すらないということもあり得ます。このような場合には、破産宣告と同時に、破産管財人を選任することなく、破産手続きを終結するという手順がとられるのです。この手順のことを「同時廃止」(同時破産廃止)と呼びます。この同時廃止というのは、言ってみれば極めてポピュラーな手順であって、個人破産のほとんどがこの同時廃止となっています(同時廃止については破産法216条においてその規定があります)。破産管財人を選任する場合、個人申立で50万円、弁護士代理で20万円の予納金を裁判所に支払う必要があるのですが、この同時廃止手続きの場合には一気に額面が下がって、2万円程度の予納金を納めれば良いことになっています。一般的に、この同時廃止手続きですと、破産管財人を選任する場合の手続きが3ヶ月から半年にまで及ぶのに対して、そのお手続きが2ヶ月前後の短期で終結するという特徴があります。破産宣告後は、もちろん自己破産者となることに変わりはないのですが、もう債務返済は免除されていますし、さらには財産の処分も自由に行うことが可能になります。この同時廃止に似たものとして「異時廃止」というものもあります。これは破産管財人が選任されたあとで、破産手続きの費用支弁の不足が認められた場合に、破産手続の廃止を決定することです。

 

借金苦と返済相談・債務整理の発展知識3 -「免責」っていったい?

「免責」というのは、破産手続きにおいてもっとも重要なキーワードです。免責というのは、破産手続によって弁済することができなかった債務者の残債務に関して、その支払義務を免除することを言います。この免責があるからこそ、自己破産なる手続きは債務整理の最終段階であると言われるわけです。破産手続の申立がなされた時点では、債務者の債務が免除になったわけではないのです。この免責制度というのは、破産法の制定当初からあったのではなくて、1954年から導入された制度であり、個人の再スタートを促すための制度です。逆に言えば、貸金業者の側は、この免責制度を「前提」として、融資を行っていることになるのです。「これ以上は取り立てが出来ないラインがある」ということを承知の上で、彼らはお金の貸付を行っているわけですね。このような社会の制度(ルール)に納得をした上で、金銭貸借というゲームのプレイヤーになっているわけです。あまり強情に開き直るのもそれはそれで問題ですが、これはゲームのルールである以上、多重債務に陥って、免責手続きを行うことはルールの枠内に従ったものですから、必ずしも責められるものではありません。借金とは無縁のうちは、このような破産手続に対して忌避感を抱いておくのもひとつの借金予防策ではありますが、いったん多重債務の状況に陥ってしまった場合には、この破産手続き、中でもとりわけ「免責」という「ルール」について、知悉しておくことがこの重要になります。ちなみにこの免責決定がなされますと、破産宣告のない以前の状態に戻り、資格制限もなくなります。これを「復権」と言います。

 

借金苦と返済相談・債務整理の発展知識4 - 知っておきたい民事保全

民事再生や自己破産の申立を自分からではなく、債権者の側から申し立てられた場合。急いで自分の財産を処分してしまおう、などという思惑に駆られがちですが、残念ながらそれはほとんど無駄な抵抗です。というのは、民事訴訟上で、裁判後の強制執行なり、破産管財人による財産の調査・管理に際して、取り扱われるべき債務者の財産が、債務者自身によって処分・隠蔽されてしまわないような保全処分と呼ばれる手続きが存在しているからです。民事再生や自己破産手続きにおいては、民事再生法および破産法において、その保全処分の旨が記載されていますし、民事訴訟による強制執行権の保全に関しては、民事保全法がその旨を規定しています。個人再生や自己破産がどちらかといえば債務者救済の側面が強いのに対して、こちらは債権者の権利を救済するための措置ですね。この民事保全手続きは「民事保全法」の規定に基づいて実行されます。民事保全の内容としては「仮押さえ」と「仮処分」と呼ばれる二種類があります。仮押さえというのは金銭債権の執行保全のことであり、仮処分というのは金銭以外の、たとえば不動産などへの請求権の執行保全のことを指します。また仮処分にはもうひとつ、民事訴訟中に損なわれてしまいかねない債権者の社会的地位、たとえば職場での役職なり、支払われる給与なりといったものを保全するという内容も含まれています。このように保全処分という手段が用意されていますから、民事訴訟や民事再生、自己破産といった状況に至った場合には、余計なことは考えずに、自分の債務の弁済(およびその減免)が最も効率的になされる方法について、頭を巡らせるべきです。

 

差押えは民事執行法に基づきます

旦那・家族に内緒で借金を重ねてしまい、返済が難しくなってしまった。そして最近では、民事訴訟の話まで出ている。もし民事訴訟の判決で、財産が差押えられてしまったら、生活は出来なくなってしまうのでしょうか?その答えは両義的です。つまり「今までと同じ」生活は出来ないようになるかも知れません。ただ、「生きていくための生活」は十分に保証されます。それというのも、強制執行によって差押えが出来る範囲というものが民事執行法の131条によって定められていて、その定めにおいては、生活必需品の差押えが禁止されているからです。民事訴訟法によって禁止されている差押えの範囲は、たとえば衣服、寝具、家具、台所用具、畳、建具、さらに一ヶ月間の食糧、燃料、世帯2ヶ月分の生活金銭を勘案して政令で定める額の金銭(2004年の法改正で「1ヶ月分」が「2ヶ月分」に増えました)、また学業や職業において必要不可欠の道具類や書類、帳簿類、さらに「発明または著作に係る物で、まだ公表していないもの」なんていうものまで含まれています。また同じく民事執行法152条においては「継続的給付に係る債権等」についても、一定の範囲内でその差押が禁止されており、要するにこれは給料、賃金、俸給、退職金、また国・自治体からの公的給付のことで、その給付の4分の3に関しては原則差押え禁止(政令指定額のほうが低い場合はそちらを適用)となります。このように、生活に必要な財産は保護されるわけです。

 

差押えが行われると夫や子供も生活ができなくなる?

民事執行法によって、差押えが可能な範囲が定められているのはわかったけれど、その差押えの範囲って、旦那や親の財産にまで及ぶのだろうか?という点は借金苦と返済相談・債務整理において問題になりがちです。自分だけの財産ならまだしも、家族には迷惑はかけたくないものです。その点はどうなっているのでしょうか。結論から申し上げれば、まず不動産に関して言えば債務者本人の名義でなければ、それは差押えとは一切無縁ということになりますし、また動産に関して言えば「占有」を以てその対抗要件となす、というのが原則ですから、いちいちこれは私のもの、あれは旦那のものとラベルをしていなくても、実質的に旦那さんや他の家族が占有しているものに関しては、差押えが出来ないことになっています。また競売にかけれないような換金性のないものについても差押えの意味はありませんので、使い古している家具なり家電製品などについて、あれこれ悩んでもあまり意味はありません。ただしこれに関しては、執行人の判断も加わりますので、截然と線を引くことはできませんがね。ちなみに、この原則を逆手にとって、たとえば自分の預金を、子供名義の口座に預けた場合などについては、民法424条の「詐害行為取消」が適応されて、その贈与の事実は抹消されてしまいます。つまり発覚すれば何の意味もない、ということですね。しかも民事執行においては民事保全と呼ばれる手続きがとられますから、債務者の財産の隠蔽・処分がなされないように、即座にその財産の保存がなされることでしょう。旦那やその他家族への迷惑を考えるならば、むしろ余計な悪あがきはしないに限ります。

 

予納金と管財人を納めるお金が主婦にはない

自己破産をする際に、債務者に一定程度の財産がある場合には、その財産を債権者に公正に配分するために破産管財人が選任されて、その管財人への報酬にあたる「予納金」と呼ばれるものを、裁判所に対して支払う必要があります。この予納金は個人での申し立ての場合は50万円であり、弁護士代理の場合は20万円という額です。弁護士代理訴訟であれば圧倒的に安く済むわけですが、それでも簡単に支払える額ではありませんよね。予納金の「予納」という意味は、債務者の財産が、債権者に対して弁済されるよりも前に「予め納められる」ということを意味します。つまり弁済されたあとの坊主の状態では、管財人への報酬が支払われない、というわけです。また、この50万円、20万円という額面が高額であるのは、破産手続きを有資産状態で容易には行えないようにするため、という機能も含まれていると言われています。しかし、この50万円、20万円という額の支払いを心配してしまうくらいの家計水準である場合には、この額面すら支払わずに済む可能性が高いです。実際、個人破産を行っている人の大半はこの20万円という額を支払っていません。要するに、破産管財人に支払うこの20万円の額をも支弁できない場合には「同時廃止」と呼ばれる手続きがとられ、破産管財人は選任されず、破産の終結が決定されるのです。そしてその後、破産者は「免責決定」の申し立てを行うことになります。この同時廃止の場合にも一応予納金はありますが、その額は1万円程度です。さらに弁護士費用に関しては、国が設立した法テラスの「費用立替制度」などを利用することによって、その費用立替が行われ、なおかつその分割支払いが認められることになります。

 

夫や子供に内緒で自己破産はできる?

借金苦と返済相談・債務整理の問題で気になることは、自己破産の手続きが旦那さんに内緒で出来るのかどうかということ。「原則」論を言うのであれば、旦那さんに内緒でその手続きをすることが可能です。少し昔のドラマなり漫画なりの影響で、借金が膨らむと、家族総出で夜逃げをする、というような場面が未だに想起されがちなのですが、現代における借金解決の手順は、そのようなイメージに比べてはるかに穏当かつスムーズなものと言えます(かつての「夜逃げ」というのは、現在よりも借金の取立が悪質で、かつそれを取り締まる法律も整備されていなかったがための、ひとつの逃避手段であったと考えられます)。冒頭に述べた「原則」論ということの意味は、まず債務者本人の財産が、破産管財人への予納金を支払うほどに存在しない場合には、即刻「同時廃止」の手続きに移行し、通常2ヶ月ほどの短期間で破産の決定に至るためです。つまりこの過程で、債務者の財産についての特別な処分はなく、また金銭の特別な支出もなく(予納金は1万円程度で、弁護士報酬も20万円程度、なおかつその報酬については、法テラスなどの無料相談所等を介せば立替・分割にも応じてくれます)。いっぽう破産管財人を選任する場合には、破産者の財産についての調査が行われ、その処分もなされますので、「原則」としては旦那さんの財産に何の影響もないのですが、旦那さんがその不振に気づく可能性はままあるでしょう。ただ使い古した家具なり家電などは処分対象にはならず、金銭類や宝石類のみが換金される場合には、室内の変化もほとんどない、ということでうまくいけば旦那さんに内緒、ということも可能です。

 

旦那にバレる・・・何度も裁判所に行かないとダメ?

自己破産の申立を行った場合、いったい何回くらい裁判所に通わなければならないのでしょうか。買い物でもなく、誰かに会いに行くわけでもないのに、家を空ける頻度が高くなったら、おのずと旦那さんや子供に怪しまれてしまいます。借金苦と返済相談・債務整理における悩みのタネですよね。実は、この自己破産における出頭回数は、個人破産の大半が適用となる「同時廃止」の場合には、「平均で1回」で済み、場合によっては「0回」に押さえることが可能です。「自己破産」というもののイメージと全然違うことに驚かれたのではないでしょうか。ちなみにその「平均で1回」というときの「1回」はいつかというと、破産審尋(審問)といって、担当裁判官から自己破産申立の事情についての質問に回答するときに、裁判所に出頭する必要があるというわけです。この破産審尋が行われる行程のことを審尋期日と呼びますが、審尋期日は通常、破産申立から1ヶ月前後経ってからおこなわれます。かつては、この審尋期日に加えて、免責申立を行う際の免責審尋という行程においても、裁判所への出頭が必ず求められていたのですが、2005年の破産法の改正によって、この免責審尋への出頭は必須ではなくなりました。さらに、裁判所によっては、破産申立当日に、裁判官と代理の弁護士が面接を行うという制度を取り入れていて、これは要するに先に述べた審尋期日を代替するものですので、この制度を利用する場合には、ついぞ、1度も裁判所に出頭することなく自己破産を完了することが出来てしまうのです。

 

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